この建物の用途は、ロレックス社専用の時計とブレスレットの修理を行うためのものであり、又、その職員の研修所として建設されたものである。重厚で落着きのある内外部のデザインは、ロレックスのもつ高級イメージを存分に感じさせる。
私は、この設計のコンセプトは、1.環境との共生 2.アメニテイの重視 3.歴史と伝統への調和等であろうと思う。見事にそれが表現されているものと評価したい。深川不動尊の傍であり、北側正面が深川公園に面しているという地域特性を考慮して、外部デザインは下層部は濃い色調の石を使って重厚感を出し、上層部は明るい軽快な感じとし、北側前面道路側はカーテンウォールをインターロックさせる等幅広い視覚に対し、不自然でなくその存在を強調している。内部は北側正面2層毎に吹抜けを設け、採光と公園への眺望をほしいままにしている。各階のプランは単純明快で、この吹抜けを中間領域として、ワークスペースへのアメニテイの配慮が見事に生かされている。他にも自然を取り込む手法や洗練された感性のよさが随所に見られ、設計の質の高さを感じさせる。作業対象が精密機械だけに、クリーンルーム的な配慮が必要で、内装仕上材などは輸入品を使用しているとのことであったが、設計者の資材の性能に対する信頼のあらわれであり、今日的話題として興味をひかれた。
日本の風土を理解した設計者の日本人的な思考の過程には、大いに感動させられたが、やはり6年間(1973〜1978)にわたる日本留学の成果が、この作品に実を結んだものと理解しても不自然ではないと思う。
東京建築賞選考委員会 田辺敏夫
受賞 :1995
東京建築賞 優秀賞
件名 :ロレックスビル
主催 :東京都建築士事務所協会
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